ファッションへの愛と矜持を持って、お客様そして洋服と日々向き合うShinzoneスタッフのおしゃれとこだわりを綴る本連載。今回はShinzoneの発信物やTシャツ、ステッカーほか多くの制作を手がけるグラフィックデザイナーの飯野が登場。
ベーシックなアイテムを、カルチュアルに自分らしく楽しみたい
インハウスのグラフィックデザイナーとして、ノベルティのデザインや制作、画像調整や処理など担当しています。またTシャツやキャップのグラフィックや、昨年からリニューアルしたShinzone NEWSの制作などにも携わっています。
ディレクター、洋服を製作する生産チーム、バイヤーほか、スタッフみんながこだわって作り上げている商品や世界をお客様へ正確に伝えるのが私たちの仕事。また洋服1枚が出来上がるまでに、生地屋さんに始まり、縫製さん、工場の方など何人もの人が真剣にものを作っている。そんなものづくりの背景や思いを丁寧にお客様に伝え、届けたいと思って仕事に取り組んでいます。
シャツはかつて販売していた23年AWコレクションのTHE SHINZONEのBIG SHIRT。「一見メンズライクな大きいシャツなんですが、裾に向かってさりげなくテーパードした菱形のシルエットで女性らしい着こなしに仕上がるのがお気に入りポイントです」。ハイウエストのパンツに合わせたちょっとくすんだゴールドのバックルが気に入っているというベルトは飯野が刻印のデザインを担当。スニーカーは「adidas」LAが復刻を記念した特別モデルのため、大切に履いている。
「洋服は青とネイビーが多いです。そしてコーディネートを組んだ時に3色くらいでまとめたい」というこだわりも。
おしゃれに興味を持ったきっかけは家族の影響です。出身が新潟なのですが、ニット業の盛んな五泉で母がニットのパターンや企画に従事していました。同じように父も洋服が好きで、「COMME des GARCONS HOMME」など愛用していましたし、祖母も五泉で繊維業に従事しており自宅にあった大きなミシン専用の部屋でニットを縫っている。そんな環境の中で育ちました。
また小さな頃から、両親が「Levi's」のデニムや「NIKE」のコルテッツなど、こだわって選んでくれたアイテムを着ていたことも影響しているのか、幼稚園くらいから自分の意思で、洋服を選ぶように。遠足では、キラキラのサンダルを絶対に履く! と、駄々をこねて無理やり履いていったこともあったようです。幼い頃から絵を描くことが好きで、自由帳にスタイリングのイラストを描くのも好きでしたね。" 着せ替えぬり絵"も好きでしたし、リカちゃん人形の着せ替えも好きでした。
「私の場合ジャンプスーツを、そのまま着ると、ちょっと泥臭くなるので、デコルテが覗くTシャツやアクセサリーを合わせるなど、どこかレディな要素を入れつつ着ています」。Tシャツとおもちゃっぽい質感が気に入っているサンダルは古着。「オニキスのネックレスは社内の手先が器用な先輩にリクエストして作ってもらったもの。目下気に入って、毎日のように着けています」。
ヘアサロンでの体験が、グラフィックデザイナーへの道標に
現在の職業へ就くきっかけは、高校時代に通っていた美容院で、担当の方に悩みの天然パーマについて相談したら、それを活かした素敵なヘアスタイルにしてくれたこと。本来なら、そこで「すごい ! 」と影響を受けて美容師を目指すのかもしれないのですが、自分にはちょっと自信がなかった。代わりに「こういう素晴らしい仕事をしている人たちの魅力を何かで伝えたい」と思ったんです。そこで選んだ手段がグラフィックデザインでした。卒業後はデザインの学校へ進学し、デザイン会社を経て今に至ります。
Shinzoneを知ったのは、学生時代に友人が履いていたパンツから。それをきっかけに、どんなブランドだろうと調べたら、スタイリストの白山さんが手掛けたスタイルブックに行きつき、なんて可愛くて素敵な世界なんだ! と衝撃を受け、こういう素晴らしいものを作る人たちと一緒に仕事したいと思うようになりました。
25年春夏のカプセルコレクションでグラフィックを担当したTシャツは、「海にいきたくなるような気分を盛り上げられるデザインを意識しました」。この日は映画『DOGTOWN&Z-BOYS』の舞台であるベニスビーチをイメージしたスタイリング。足元には大好きな「VANS」をプラス。
自分自身が洋服を選ぶ際に一番大切にしていることは、飽きずに長く着られるかどうか、ということ。大好きな古着もそしてノーブランドの安価なものでも、長く着られそうと思ったら手入れをしながら大切に着ますし、同様に高価なものでも、一生使えそうで次の世代に引き継いでもらえそうだな、と思ったら頑張って買います。また欲しいと思ったアイテムは、オークションや、フリマアプリ、さらにebayまで駆使してとにかくディグ。徹底的に検索して買ったりしています。
毎日のスタイリングは、TPOを考えながら。ベーシックなアイテムやメンズアイテムに、さりげなく女性らしさを加えてスタイリングするのが好きです。重要なアイテムは靴ですね。学生時代に靴屋でアルバイトをしていたこともあり、靴が好きで。どこに行くか、誰に会うかで何を履くか決めていますが、自分の中で3つの基本があって。まずは少年が元気に走れ回れそうなスニーカー、そして男性っぽいレザーシューズ、最後はちょっとだけレディなもの。これをベースに、洋服がメンズっぽくなったら足元はレディに。その逆なら、メンズに、という具合です。
「ものすごく気に入っている」という24年秋冬のDOUBLE BREASTED JACKET(現在は完売)には、古着のホッケーTシャツとショートレギンスを合わせた飯野流スポーティブスタイル。ブーツは「Maison Margiela」。
入社して3年目になりますが、かつてInstagramで見ていたおしゃれで素敵なスタッフの人たちが目の前にいて、仕事が一緒にできていることが嬉しいです。また、まだ一部のページではありますが、入社前からやりたいと思っていたShinzone Newsに携われているのが楽しいですね。
何より昔から雑誌が好きで、ファッション誌やカルチャー誌を読み漁っていたのですが、かつて雑誌で拝見していたカメラマンの方やスタイリストの方と一緒にお仕事できることも素直に嬉しいです。またShinzoneに出会うきっかけとなった、ブックレットを見たときの「なんだ!? このかわいいブランドは??」というブランドの虜になった感動を忘れずに。あの頃に感じたようなワクワク、ドキドキした気持ちをお客様に感じていただけるように仕事と向き合っていきたいなと思っています。
飯野のコレクションから。(左上より時計回りに)アクセサリーは基本ゴールド。理由は単純、目に入った時に自分のテンションが上がるから! 左手のリングは祖母から受け継いだもの。ブレスレットは、仕事を始めた頃に、頑張るぞという喝を入れるために買ったアイテムでお守りのように肌身離さず付けている。 トートは古着屋などで見つけると、つい、掘りまくり買ってしまうアイテムの1つ。 キャップは好きでよく被っている。自身でロゴやデザインを手がけた(写真ネイビー、赤)ものなど、多数所有。最新作は白のPOOLSIDE CAP。ディレクターに「白地に白をステッチして欲しい」とリクエストして作成してもらった。「自分がグラフィックを担当したキャップを身につけてくださっている方を街で見かけた時に、ワワワ! と。とても嬉しいのとびっくりした気持ちが混ざり、素敵に身につけてくださっていることに感動して、心の中で手を合わせてしまいました。感謝と共に👍という気持で(笑)」。
(※こちらのページでご紹介している私物のアイテムについては、ショップやブランドへのお問い合わせはご遠慮ください)